半分できた!

皆さんは、物事をどのくらい完璧にやりたいと思う方でしょうか。小さな子どもたちでも、性格は様々で、全部できないと自分を許せない、気持ち悪い、達成感がない…と感じる子たちも多いようです。それはそれで、設定した目標に向かって頑張れる、とても良い所なのですが、その設定を崩せないがゆえに自分を苦しめてしまうことがあります。私たちは「諦めないで!」という大切なメッセージを持ちつつ、「少しでもできたことを続けていれば、いつかは達成できる」…という別の方法も伝えていく必要があるかもしれません。振り返ってみて「半分できた」と思えたら、いつかまた残りの半分に挑戦すればいいのです。苦しくなって全部嫌になってしまうより、その時は半分でも(あるいはもっと少しでも)長く続けることが力になっていくでしょう!

 

 

今はやめておこう

先日スモールグループの学びで「先延ばし」の癖について話しました。無意識の恐れや不安があって、すぐに取りかかれず、つい先延ばしにしてしまう心理は誰にでも経験があると思います。でもこの癖を放っておくと困ることになるケース(先延ばしにしている間に衝動的に飛びついたゲームやネットに依存していく…など)があることも事実です。

先延ばしにしたい何かがある時は、せめてその時間、逃避行動に走らず、別の生産的なことをやる時間にしてしまうといいかもしれません。そうするうちに、エネルギーが上がり、取りかかれなかったことについて良いアイデアが浮かぶ…ということもあるからです。

(ただしその後に切り替えて、「締め切り」に間に合う見通しがあるなら…です!)。

 

 

○○さえ変わってくれたら…

様々な方のお話を伺っていると、「家族との関わり」「学校での生活」「職場での人間関係」など多くのことで苦しまれていることがわかります。ほとんどの場合、問題が複雑に絡み合っているので、それをほぐしつつ、1つ1つ結び目をほどいていきます。周りの環境で改善できそうなところには具体的に働きかけて、それで安心が増えていくこともあります。また、場合によっては、ご自身の中の考え方に変えられる点は無いか、もしかしたらそこが変わることで関係が変わるのではないか、ということにも注目します。これは認めがたい、しんどい作業です。が、本当にそこが腑に落ち、ご自身が変わられたとき、全体が悪循環から抜け出し、急に物事がスムーズに動き出すということを何度か見てきました。もし「○○さえ変わってくれたら」「○○が良くなったら」という思いに捉われて苦しいのであれば、実は少しの発想の転換で楽になることがあるかもしれません。

 

 

呼吸を整える

そろそろ秋の気配がしてきました。夏に休みが取れリフレッシュされて「さあ、頑張ろう」となればいいのですが、また元の日常に戻る…ということがしんどい時も多いですね。子どもたちにとっても辛い季節かもしれません。先日テレビで放映されていましたが、呼吸を整えることは不安感の解消に繋がるということで、カウンセリングでも多く取り入れられています。肺は自分で動くことができないので、息を吐いた時に肺に残っている空気をより多く外に出すために、ゆっくり呼吸をする(呼吸の回数を減らす)ことが自律神経にもよい影響を与えるようです。「呼吸ストレッチ」でも検索できると思いますが、まずは、出かける前に意識してゆっくりと深呼吸をしてみると、少し落ち着いて1日をスタートできるかもしれません。

 

 

怒っている自分

何かあってイライラしてしまったり、相手に対して嫌な感情をもってしまったり…私たちは時々、そんなことを考えている自分がいやになる、という経験をします。それは「怒り」のような感情が"悪い”思いだと感じているからですよね。でも、感情に「よい」「悪い」はありません。そこからどう行動するか…を考えることは大切ですが、それを冷静に考えるためには、自分のもっている感情をそのまま受け入れる(「あ~、私は今怒っているな」や「今イライラしてるな」などに気づき、認める)ことが必要です。感情を手の上に乗せて、上から眺めるようなイメージです。できれば、もう一人の自分に「怒って当然よ」などと言ってもらいましょう。

そして一旦受け入れたところで、どうすることが相手と自分にとってベストなのか?を考えます。これらは、なかなか難しい作業ですが、その場を笑顔で取り繕って、後々モヤモヤするよりも、心の負担は軽くなるかもしれないですね。

 

 

 

羨ましいと思うとき

新しい年度になりました。日本では、職場や子どもの学校、趣味の会など、新たな人間関係ができる時期ですね。私たちの周りには、自分には足りないものを、もっている人がいて、時に「羨ましいなぁ」と思うことはありませんか? 自分とは遠い立場の人(例えばテレビに出る有名人など)にはそれほど強い羨ましさを感じませんが、近い立場にある方で、自分と同じようなことをしている人がうまくいっていると、より羨ましく感じるようです。「羨ましい」と感じている自分に気づいたら、それを妬みや恨みに変えることにエネルギーを使わず、自分を改めて俯瞰し、自分にしか無い何かを考えるよい機会としていけたらいいですね。

 

 

迷ったらどうする?

新年恒例の駅伝で総合優勝した青山学院大学の原監督が、いつも学生たちを「自律」できるよう励ましている姿に感銘を受けます。「迷ったら攻めろ」という言葉にもそれまでの積み重ねがあると聞きました。私たちの人生でも「迷ったらやめる」か「迷ったら進んでみる」かで道が変わってくることがあります。どちらがいいか、一概には言えませんが、進む人はなぜ進めるのか?と考えると、正しいセルフイメージが土台にあることの大切さに思い至ります。自分の存在に自信がない時に迷うと「やめておこう」となりますが、「私は私でいい」と思える時には「やってみよう」と踏み出せるものなのです。

「迷ったら進んでみる」…そんな気持ちになって、今年もさらに新しい世界を体験できるといいですね。

 

 

痛くない?痛いです!

小さな子が転んで、どうするかなと思っていると、そばで大人が「泣かない!痛くないよ」と叫んでいて、なんとかその子は泣かないで立ち上がる……道でこんな親子の風景を見たことはありませんか?その後には「えらいね」などと褒められるのです。でも、本当はその子の心と体は「痛いよ」「びっくりした」「怖かった」と泣きたいはずです。私たちは体の奥に感じられる感情に、違う名前をつけられることが続くと、脳が混乱し、感情を制御すべき時にできなくなってしまいます。悲しかったり怖かったり…嫌な感情をもっている時には「悲しい」「怖い」と言えること、悲しければ泣くこと、泣かせてあげることはとても大切なのです。家族や温かい人間関係の中で、安心してそれができるといいですね。

 

 

面倒くさいの本当の気持ち

先日のスモールグループで「面倒くさい」という気持ちは、本当はどんな気持ちかを考えてみました。「疲れている」「不安」「難しそう」「煩わしい」「おっくう」「自信がない」……実は奥に"過去の体験"から引き出される様々な感情が潜んでいることを発見できます。面倒なことをいつも先延ばしにしていると、脳が回避することを学習してさらに面倒になるのでは、という話も出ました。面倒くさがりは「性格」ではなくて、そんな脳の働きだと知っていると、対処できる気もしてきますよね。脳が勝手に引き出してしまう"過去の体験"を阻止するためには、あまり考えずにとりあえず「少し取りかかる」ことと、完璧を目指さないことが有効かもしれません。

それにしても暑くて何をするにも面倒ですね(涙)

 

 

新しい環境で

4月から新しい環境になった、という方は多いかもしれません。自分が変わらなくても、子どものクラスが変わったり、家族の異動、あるいは職場の周りの方がかわった…という方もいるでしょう。変化があると、様子を伺い気を遣ったり、自分を周りに合わせようとする気持ちと、新しいものから身を守ろうとるする(無意識の)体の反応に挟まれて、疲れが出てくることがあると思います。そんな時は、これまでの「変わらない」居場所(家族、古くからの友達など)の中で過ごしたり話したりすることで、ちょっとした安全基地に戻るような安心感が得られるかもしれません。疲れたな~と感じたら、それはsosだと受け止め、早めに休み、安全な場所でエネルギーをチャージすることを忘れないでくださいね。

 

 

悲しみの共有

昨年、ウチの犬が天国に行ってしまいました。その後のロスは、動物と暮らしたことのある方なら想像していただけるかと思います。天国で幸せにしていると信じていますが、それでも、1日でいいから帰ってきて欲しい…そうしたら、大好きな散歩をして、公園に連れていって、美味しいものをたくさん食べさせてあげたいと心から願います。

犬でさえそうなのですから、大切なご家族や友人を亡くされた方は、どんなに深い悲しみとそのような後悔にも似た気持ちや願いをもっておられるのかなと想像します。心の癒しのためには、悲しみを自分の中だけに秘めるのではなく、共感してもらえる誰かと分かち合えたらいいなと思います。言葉にしてみたり、泣いたり、楽しかった思い出を語り合うことで、少しずつ、その方の存在と、共に過ごせた時間の素晴らしさへの感謝へと変えられていくのでしょう。

 

 

繰り返しではない毎日

コロナ禍での毎日が続き、医療に従事されている方や、仕事が続けられずにいる方の苦しみを思うと、とても辛い気持ちになります。そうでなくても、制限の多い暮らしの中で、友達にも会えず、出かけることも控え、単調な毎日を過ごされている方が多いのではないでしょうか。「毎日毎日、刺激の少ない環境で同じことの繰り返し。いつまで続くのだろう」と感じてしまいますよね。それでも、本当は決して単なる繰り返しではない、ということに気がつくと、少し丁寧に前向きに時間を過ごせるかもしれません。今日やることが「初めてで最後のこと」と意識してみてはどうでしょうか。字をきれいに書いてみる、身近な人に「ありがとう」を言ってみる、子どもと過ごす時間に新しいアイデアを入れてみる…などなど、私たちの思いと働きかけ一つで、つまらない繰り返しの日ではなく、かけがえのない1日に変わるでしょう。

 

 

予期せぬプレゼント

誕生日などに「サプライズ」でお祝いしてもらった経験のある方はいるでしょうか。やけに友人たちが冷たい態度をとるな…と思っていると、こっそり準備していた部屋に招いてくれて「おめでとう!」と派手に驚かせてくれる方法は、とても嬉しいものです。私たちは、期待をしていないことには、より一層喜びを感じます。逆に考えると、家族や人間関係、また自分にがっかりすることが多いと感じるときは、多すぎる「期待」をしていないか確認してみるといいかもしれません。「○○してくれない」「△△だと思ったのに、うまくいかない」「せっかく○○したのに」…こう感じる時は、もう1度原点に戻り、「期待」という要求をせず、自分が前向きにやりたいことを思い出してみると残念な気持ちを整理できることがあります。そうすると、不思議なことに、思ってもいない素晴らしい結果になることがあるのです!

 

 

変わる"常識"

コロナの感染拡大がどうなるかわからず不安な日々が続いています。なんとなく気力も出ないという方も多いのでは、と思います。そんな今は、頑張ってモチベーションを上げようとせず、自分のこの状態や気持ちをそのまま見つめることをおススメします。「毎日通勤するもの」「学校は行くもの」と思っていた"常識”さえ変わろうとしているのですから、「~ねばならない」と思っていた正しいことができない自分を責める必要もありません。これまでの"常識”が違うとしたら、何が真実なのか…何をすれば私は元気になるのか、どんなことが本当の私を生かしてくれるのか…などを考えながら過ごしてみる良いチャンスかもしれません。あとから振り返って、あの時が大切な時間だったと言える日がくるといいなと思います。

 

 

いつも通りに

コロナウイルス感染拡大がおさまらず、心配な毎日ですね。自分が感染しているかもしれない、明日が見えない…という不安でいっぱいになることもあるでしょう。人はストレスの多い状況の中で平常心を保つだけで、知らず知らずのうちにエネルギーを消耗してしまいます。そんな時は、あたりまえのようですが、できないことには抗わず、できることをする、ということが、少しでもエネルギーを節約する方法になるかもしれません。思えば、いつどうなるかわからないのは、普段だってそうですね。今のこの時間が守られていることを感謝しつつ、基本的な生活(寝る、食べる、体を動かす、できればオンラインなどで人と話すなど)を続け、後で後悔しないよう「今日」身近な人に愛と思いやりを伝える…淡々とこれをすることで免疫力をキープしましょう!皆様の健康が守られますように…。

 

 

違う考えの人

懐かしい学生時代の友達と集まると、それぞれの記憶の違いに驚くことがあります。人によって、それまでの生活環境や性格や聞いてきたこと、見てきたことなどが違うので、同じ出来事でも記憶(印象)に残る部分が全く違うのでしょう。沢山の記憶の組み合わせで、さらにそこから先の物の捉え方や見方も変わってくるわけです。そう思えば、人の考え方なんて果てしなく(文字通り人の数だけ)あるということになりますね。同じように考えたり感じたりする人に出会えることの方が奇跡的と言ってもいいかもしれません。「どうしてこの人は私と同じように考えられないのだろう」と感じたときは、ちょっとそんなことを思い出してみるといいかもしれませんね。

 

 

港であること

先日、思春期のお子さんをもつお母様とお話しました。どこまで関わればいいのかわからない、ということで…これは永遠に親にとって悩ましい課題ですよね。私たちは子どもに痛い思いをしてほしくないと願うあまり、つい「転ばぬ先の杖」になってしまいます。でも思春期に入って自立していこうとしている年代にとっては、杖でたくさんつつかれるよりは、自分で一回転ぶ方が辛くないし、実体験を伴って学べる事は大人になる前に必要なことかもしれません。私たち親は「困ったことがあったらいつでも帰ってきていいよ」と、ひたすら港のように安全な場所を用意して見守ることができればいいのでしょうね。そこに美味しい食事と安全に眠れる場所があればベストです。もちろん子どもによって必要な助けは違いますが、どうやったら子どもにとって安全な港になれるのか、それを考えられる親でありたいと思います。

 

 

点がつながると…

小学生のころ図工の時間に見せてもらったスーラという人の作品に、とても驚きを覚えたことを思い出します。面に描かれたように見えるその大きな絵は、よく見ると小さな点で描かれた点描画というものでした。それは絵画の手法だけではありません。写真や印刷や、さらにこの世界も点でできていると言ってもよいのかもしれません。

私たちの人生も「1日」という点が繋がってできています。町は「家族」という点が繋がって成り立っています。一人で大きな面や線を作ることはできませんが、1つの「点」を作ることはできるかもしれないですね。大きなことを成し遂げる力が出ない日は、ただその日を丁寧に生きること、身近な人との関係を大事にすること、だけでいいのです。いつのまにかそれが大きくて素敵な面や線となっているのですから。

争わないNoの伝え方

日本人は人と違う意見を伝えること、断りたい気持ちを伝えることが苦手と言われます。欧米の方がどうやってそれを伝えているのかを聞いていると、案外Noを使っていない印象をもちます。例えば「いい考えですね。私はこう思います」「それは同意します。でもこういうのはどうですか」などなど。まず最初に相手の意見を尊重して受け取っているのです。同意しきれないときは「○○だと思う」と言われたら「○○だと思うのですね」と繰り返すだけでも印象が変わります。相手の気持ちを大事にして、でも私はこうです、と伝える……これは大人同士でも、子どもに対しても、同じように大切なコミュニケーションの基本かもしれませんね。

 

 

平和をつくる1年に

新しい年が明けました。お正月の(すみません、東京なので)晴れた空を見るたびに、平和な朝であることに感謝しつつ、紛争や内戦のある所の大変さを思います。国単位でなされていることには無力感を感じますが…でも、どんなことも、たどっていけば人の心が何かを動かして始まっているのでしょう。私たちができることは、私たちのまわりで小さな平和を作っていくことなのかなと思います。家族の中でありがとうを言ったり、友達の気持ちを知ろうと努力したり、笑顔でいたり…そういう小さな平和から広がる波が大きな平和につながることを信じて、この1年を過ごしたいですね~。